最近読んだ本で,おもしろかったものに,藻谷浩介NHK広島取材班「里山資本主義」(角川oneテーマ21)があります。
 マネー資本主義,経済成長至上主義を「マッチョな経済」と呼び,それが解決できない財政赤字,原発をはじめとするエネルギー問題,地方の荒廃,農業,高齢社会・社会保障などの諸問題について,逆説的な解決策を「里山資本主義」としてを提示しています。また,それまで当たり前に欠点とされていた諸事情について,決して日本経済にとってマイナスでないことを示し,技術力のある日本にとってはチャンスでもあることを主張しています。そして,「里山資本主義」をサブシステムと位置づけ,「しなやか」な経済を目指すことを提案しています。
 最近のアベノミクスによる景気上昇,経済成長にもかかわらず,どこかに漠然と不安を感じている方も多いと思いますが,そんな不安に対する一つの回答がこの本にはあるように思いました。何より,驚かされたのは,そういった新しい動き・試みが日本でも世界でも静かに進んでいたことですね。
 われわれ法曹の世界,法律も,そうした新しい動きに適応する「しなやかさ」をもたなければならないように感じました。興味のある方はご一読をお勧めします。

宮前法律事務所