1 成年後見制度の位置づけ
ここで,成年後見制度の位置付けについてみてみましょう。
「成年」後見ということは「未成年」後見があり,これらは対をなします。民法は制限能力制度として,大きく2つの制度を置いたのです。
未成年後見についても,現在18歳成年の議論や児童虐待等にともなう親権喪失との関連でホットなところですが,ここでは制限能力制度には成年と未成年があるということを押えておいてください。
次に成年後見制度ですが,その中も大きく2つに分けられます。「法定」後見制度と「任意」後見制度です。成年後見制度には,「後見」・「保佐」・「補助」がありますが,いずれも裁判所が後見等開始審判をして,後見人,保佐人,補助人を選任します。これに対して,任意後見制度というのは,本人があらかじめ任意後見人となるべき人と任意後見契約を公正証書で締結しておいて,本人の判断能力が不十分となったとき,裁判所が任意後見監督人を選任して,その監督の下,任意後見人が本人を援助するというものです。法定後見の成年後見の場合と異なり代理権の範囲なども契約で定められます。
任意後見制度の利用は,きわめて少ないのですが,可能性のある制度です。-つづく-

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