遺言書保管制度
遺言書保管制度が始まっていますがご存知でしょうか。
平成30年7月6日に民法の相続法の部分について大きな改正が行われました。そのとき同時に新たな法律が制定され遺言書保管制度が設けられました。この制度は昨年7月10日に施行されています。施行後3月で7000件弱の申請があったようです。
遺言書保管制度は,民法で定められた遺言の形式のうち,もっとも簡便な自筆証書遺言つまり公証役場などに行かずに自分で作成する遺言の欠点を補う制度として設立されました。
これまで自筆証書遺言ですと,民法上の要件を欠いたり,本当に本人が作成したか争われたり,いろいろな紛争が起こりがちでした。また,自筆証書遺言ですので,相続人が遺言書を発見してくれなくて,あるいは誰かが破棄ないし隠匿して日の目を見ないこともありました。さらに,自筆証書遺言のときは,遺言者が亡くなった後家庭裁判所に検認の申立をしなければならず,これも面倒でした。
こうした自筆証書遺言の欠点を,遺言書を法務局に預けることで,遺言者本人の作成であることや遺言書の外形的な不備をとりのぞき,さらには家庭裁判所の検認を不要としたのです。
遺言書の作成を考えておられる方はこの制度の利用を検討されてもよいのではないでしょうか。
ただ,遺言書の内容や効果については,この制度の与り知るところではありませんので,遺言をなさりたいときは,本当にご自身の希望した結果になるのか,自身の遺志が的確に盛り込めるのか,弁護士に法律相談されることをおすすめします。その上で保管制度を利用されるとよいでしょう。